【後編】法人設立の具体的な流れとトラブル防止策
はじめに ―確実な会社設立のために―
前編では、法人設立の基本ステップと電子定款のメリット、行政書士に依頼する利点について解説しました。後編では、法人設立の具体的な流れをチェックリスト形式で示し、よくあるトラブルとその防止策、さらに創業融資・補助金との連動メリットについて詳しく説明します。
5. 法人設立の具体的な流れ(チェックリスト付き)
法人設立の具体的な流れを、チェックリスト形式で解説します。
ステップ① 事前準備
まず、以下の項目を準備します。
- 商号調査(同一商号回避):法務局のオンライン登記情報検索サービスや法務局窓口で、同一住所に同一商号がないか確認します。
- ドメインの確保:会社名に対応するドメイン(.comや.jpなど)が取得可能か確認し、可能であれば早めに取得しておきます。
- 会社実印の作成:会社の代表印(実印)を作成します。印鑑作成には1週間程度かかることもあるため、早めに発注しましょう。一般的に、代表印、銀行印、角印の3本セットで作成するケースが多いです。
- 本店所在地の確定(自宅or事務所):本店所在地を決定し、賃貸物件の場合は賃貸借契約書で事業使用が可能か確認します。
- 資本金額の決定:事業計画に基づいて適切な資本金額を決定します。
- 役員構成の決定:取締役、代表取締役、監査役などを決定します。
ステップ② 定款作成
定款を作成し、公証役場で認証を受けます(合同会社の場合は認証不要)。
- 必要事項記載:商号、事業目的、本店所在地、資本金、役員、発行可能株式総数などを記載します。
- 電子定款で作成:PDF形式で定款を作成し、電子署名を付与します。行政書士に依頼する場合、この段階から代行してもらえます。
- 公証役場へオンライン送付:作成した電子定款を公証役場にオンラインで送付します。
- 公証人との事前相談:公証人が内容を確認し、修正が必要な場合は指摘を受けます。
- 公証人による認証:内容に問題がなければ、公証人が認証を行います。認証手数料は5万円(株式会社の場合)です。
ステップ③ 資本金の払込
定款認証後、発起人の個人口座に資本金を払い込みます。
- 資本金の払込:定款認証後に、発起人の個人口座に資本金を振り込みます(または既に口座にある残高を資本金として扱います)。
- 払込証明書の作成:通帳のコピー(表紙、1ページ目、振込記載ページ)またはネットバンクの画面を印刷し、払込証明書を作成します。
ステップ④ 法務局への登記申請
必要書類を揃えて、本店所在地を管轄する法務局に登記申請を行います。
- 登記申請書の作成:法務局の書式に従って登記申請書を作成します。
- 必要書類の準備:
- 定款(認証済み、株式会社の場合)
- 資本金払込証明書
- 印鑑届出書
- 発起人の印鑑証明書
- 取締役の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書(取締役会非設置会社の場合)
- 登録免許税の納付:株式会社の場合、15万円または資本金額の0.7%のいずれか高い方を納付します。合同会社の場合は6万円または資本金額の0.7%です。
- 法務局へ申請:書類一式を法務局に提出します。郵送またはオンライン申請も可能です。
- 登記完了:申請から1~2週間で登記が完了します。登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と印鑑証明書が取得できるようになります。
重要:登記申請日が会社の設立日となります。希望する設立日がある場合(大安など)、その日に登記申請を行う必要があります。
ステップ⑤ 税務署・役所への届出
会社設立後、以下の届出を各機関に提出します。
税務署への届出
- 法人設立届出書(設立から2ヶ月以内)
- 青色申告承認申請書(設立から3ヶ月以内、または最初の事業年度終了日のいずれか早い日)
- 給与支払事務所等の開設届出書(従業員を雇用する場合、雇用から1ヶ月以内)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(従業員が10人未満の場合、年2回の納付に簡素化できます)
都道府県・市町村への届出
- 法人設立届出書:愛知県の場合、愛知県税事務所と市町村役場にそれぞれ提出します。提出期限は自治体によって異なります(設立から1ヶ月以内が一般的)。
年金事務所への届出(従業員を雇用する場合)
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届(設立から5日以内)
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届(従業員ごとに提出)
労働基準監督署・ハローワークへの届出(従業員を雇用する場合)
- 労働保険保険関係成立届(雇用から10日以内)
- 労働保険概算保険料申告書(雇用から50日以内)
- 雇用保険適用事業所設置届(雇用から10日以内)
- 雇用保険被保険者資格取得届(従業員ごとに提出)
6. よくあるトラブルと防止策
法人設立でよくあるトラブルとその防止策を紹介します。
トラブル①:事業目的が許認可要件を満たしていない
定款に記載した事業目的が、後から取得する許認可の要件を満たしていないケースがあります。
防止策:許認可が必要な事業を行う予定であれば、定款作成前に行政書士に相談し、許認可取得を見据えた適切な事業目的を記載しましょう。特に建設業許可、飲食店営業許可、介護事業、人材派遣業などは、事業目的の記載が厳格に審査されます。
トラブル②:資本金の払込証明の間違い
資本金の払込は、定款認証後に行う必要があります。認証前に払い込んでしまうと無効になるため、順序を守りましょう。
防止策:必ず定款認証後に資本金を払い込み、通帳のコピーまたはネットバンクの画面を印刷して払込証明書を作成します。行政書士や司法書士に依頼すれば、正確な手順を指導してもらえます。
トラブル③:定款の事業目的の過不足
事業目的が少なすぎると、将来的に事業を拡大する際に定款変更(登録免許税3万円が必要)が必要になります。逆に、事業目的が多すぎると、会社の方向性が不明確に見えます。
防止策:現在行う事業と、将来的に行う可能性のある事業を整理し、5~10項目程度に絞り込むのが一般的です。最後に「前各号に附帯または関連する一切の事業」という包括的な項目を加えることで、柔軟性を持たせることができます。
トラブル④:本店所在地の契約形態
賃貸物件を本店所在地にする場合、賃貸借契約書に「事業使用禁止」「法人登記禁止」などの条項があると、本店として登記できません。
防止策:物件契約前に、賃貸借契約書の内容を確認し、事業使用と法人登記が可能かを確認しましょう。また、バーチャルオフィスの場合、許認可によっては本店として認められないケースがあるため、事前に許認可の要件を確認することが重要です。
トラブル⑤:電子署名の不備
自分で電子定款を作成する場合、電子署名の付与に失敗するケースがあります。電子署名が正しく付与されていないと、公証役場で認証を受けられません。
防止策:電子定款の作成に不安がある場合は、行政書士に依頼することで、このようなトラブルを回避できます。
7. 創業融資・補助金との連動メリット
会社設立と同時に、創業融資や補助金の申請を検討される方も多いでしょう。行政書士・中小企業診断士に依頼することで、以下のメリットがあります。
創業融資の申請サポート
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や、自治体の制度融資を申請する際、説得力のある事業計画書が必要です。中小企業診断士として、融資審査に通りやすい事業計画書の作成をサポートします。
融資申請には、以下の書類が必要です。
- 創業計画書(事業計画書)
- 資金繰り表
- 損益計画書
- 自己資金の確認書類
- 賃貸借契約書、見積書など
これらの書類を適切に準備し、融資担当者に事業の将来性をアピールすることで、融資獲得の可能性が高まります。
補助金・助成金の活用
創業時に活用できる補助金や助成金には、以下のようなものがあります。
- 小規模事業者持続化補助金:販路開拓や生産性向上の取り組みに対して、最大200万円まで補助(補助率2/3)
- ものづくり補助金:設備投資に対して最大数千万円まで補助
- キャリアアップ助成金:非正規雇用労働者の正社員転換などに対して助成
これらの補助金・助成金は申請書類が複雑ですが、行政書士・中小企業診断士に依頼することで、採択率を高めることができます。
会社設立と融資・補助金申請の一体サポート
プラスワンマネジメントでは、会社設立から創業融資、補助金申請まで、一貫したサポートを提供しています。設立と同時に融資申請を進めることで、事業の立ち上げをスムーズに進めることができます。
おわりに
電子定款を利用することで、印紙税4万円の削減、手続きのスピードアップ、ミスの減少など、多くのメリットが得られます。法人設立には、事前準備から定款作成、登記申請、各種届出まで、多くのステップがあります。
特に事業目的の記載や、資本金の払込、設立後の許認可取得を見据えた準備は、専門家のサポートが有効です。また、創業融資や補助金を活用することで、事業の立ち上げ資金を確保し、安定したスタートを切ることができます。
愛知県をはじめとする東海地区で会社設立を検討されている皆様の成功を、心より応援しています。
会社設立、電子定款作成、創業融資の申請、補助金申請に関するご相談は、プラスワンマネジメントまでお気軽にお問い合わせください。行政書士・中小企業診断士として、会社設立から事業の立ち上げまで、トータルでサポートいたします。

