補助金と融資は同時に使える?併用可否と基本ルールをわかりやすく解説
はじめに:不安を抱えたまま進めていませんか?
「補助金に採択されたけど、融資も受けていいのだろうか?」「補助金と融資を一緒に使うと、二重取りで違法になるのでは?」——そんな不安を抱えている事業者の方は非常に多いです。
結論から言うと、**補助金と融資は原則として併用できます。**しかし、ルールを知らずに進めると、違反や資金繰りの失敗につながる可能性があります。
私がこれまで多くの事業者を支援してきた中で感じるのは、併用自体は問題ないのに、「やり方」を知らないために躊躇してしまう方が多いということです。
本記事では、補助金と融資の併用可否と、守るべき基本ルールをわかりやすく解説します。事前にルールを理解していれば、怖くありません。
① 結論:補助金と融資は原則「併用可能」【最重要】
まず、最も重要な結論からお伝えします。
法令上の基本的な考え方
**補助金と融資は、原則として併用可能です。**これは法令上も認められています。
なぜなら、補助金と融資は性質が全く異なる制度だからです。補助金は「給付金(返済不要)」であり、融資は「借入金(返済義務あり)」です。この2つを同時に使うこと自体は、何ら問題ありません。
併用=違法ではない理由
多くの方が誤解していますが、補助金対象の事業に融資を使うことは違法ではありません。
例えば、500万円の設備投資をする場合:
- 融資で500万円を借りて設備を購入
- その後、補助金250万円(補助率1/2)が入金される
- 補助金で融資の一部を返済する
これは完全に合法です。補助金の交付要領にも、融資の利用を禁止する記載はありません。
よくある誤解(「二重取り=すべてNG」ではない)
ここで、よくある誤解を4つ解消しておきましょう。
❌ 誤解①「補助金と融資を一緒に使うと違法」 → ✅ 正解:併用自体は合法。性質が違う制度なので問題なし。
❌ 誤解②「補助金があれば融資は不要」 → ✅ 正解:補助金は後払いのため、先に支払う資金が必要。融資はそのつなぎになる。
❌ 誤解③「補助金=返済に使えるお金」 → ✅ 正解:補助金が入金されたら、融資の返済に充ててもよいが、それ以外の用途にも使える。
❌ 誤解④「採択されたら資金繰りは安心」 → ✅ 正解:採択後も、先に支払いが必要。補助金入金まで数ヶ月かかるため、資金繰り計画が重要。
これらの誤解を解いておくことで、安心して併用を検討できます。
② 補助金と融資の役割の違い
なぜ併用が可能なのか。それは、補助金と融資が全く異なる役割を持つからです。
補助金:事業促進・後払い
補助金の役割は、「特定の政策目的に合致する事業を促進すること」です。
補助金の特徴
- 返済不要(給付金)
- 審査基準:事業の革新性、政策適合性
- 入金時期:実績報告後(後払い)
- 使途:申請内容に厳格に限定
つまり、補助金は「事業を後押しするお金」であり、「先に支払う資金」ではありません。
融資:資金繰り・前払い
一方、融資の役割は、「事業運営に必要な資金を提供すること」です。
融資の特徴
- 返済義務あり(借入金)
- 審査基準:返済能力、事業継続性
- 入金時期:審査通過後すぐ(前払い)
- 使途:比較的自由(設備・運転資金など)
つまり、融資は「先に必要な資金を調達する手段」です。
目的が違うから併用が成立する
補助金は「事業の価値を評価して後から支援」するもの、融資は「先に資金を貸し出して事業を支える」もの。
目的が違うから、併用が成立するのです。むしろ、補助金が後払いである以上、融資などで先に資金を確保することは、実務上ほぼ必須と言えます。
③ 併用時に必ず守るべき基本ルール【最重要】
併用自体は問題ありませんが、守るべきルールがあります。これを守らないと違反になる可能性があります。
同一経費への重複充当は不可
最も重要なルールが、同一経費に対して、複数の補助金を重複して受けることは禁止されているということです。
NGな例
- 設備購入費100万円に対して、小規模事業者持続化補助金50万円とものづくり補助金50万円の両方を受給する → これは明確に禁止されています。
OKな例
- 設備購入費100万円を融資で支払い、その後、小規模事業者持続化補助金50万円を受給する → 融資は補助金ではないので問題なし。
つまり、「融資と補助金」の併用は問題ありませんが、「補助金と補助金」の重複は禁止されているのです。
支払い証憑・資金の流れの整理
併用する際は、支払いの証憑(領収書・請求書)と資金の流れを明確に整理する必要があります。
整理すべきポイント
- どの経費を何で支払ったのか(融資、自己資金、補助金)
- 支払いの日付と金額
- 補助金対象経費と対象外経費の区分
補助金の実績報告では、支払いの証憑提出が必須です。融資で支払った場合も、きちんと記録を残しておく必要があります。
補助金交付要領の確認ポイント
補助金には、それぞれ「交付要領」という詳細なルールがあります。併用する前に、必ず以下の点を確認してください。
確認すべき項目
- 他の助成制度との重複が禁止されていないか
- 融資の利用について制限がないか
- 自己資金比率の要件はあるか
不明な点があれば、補助金の事務局に必ず確認しましょう。「多分大丈夫だろう」という判断は危険です。
④ 実務で多い併用パターン
それでは、実際にどのような併用パターンが多いのかを見ていきましょう。
パターン①:融資→補助金(立替)
最も一般的なのが、融資で先に支払いを行い、後から補助金を受け取るパターンです。
例:設備投資500万円の場合
- 融資で500万円を借りる
- 設備を購入し、500万円を支払う
- 実績報告を行う
- 補助金250万円(補助率1/2)が入金される
- 補助金250万円で融資の一部を返済
このパターンでは、融資が「つなぎ資金」の役割を果たします。
パターン②:自己資金+融資+補助金
もう一つ多いのが、自己資金、融資、補助金を組み合わせるパターンです。
例:設備投資600万円の場合
- 自己資金:200万円
- 融資:400万円
- 合計:600万円で設備を購入
- 後日、補助金300万円(補助率1/2)が入金
この場合、補助金300万円は、自己資金の補填や融資の返済に充てることができます。
パターン③:創業時・設備投資時の典型例
創業時や大型設備投資の際は、以下のような組み合わせが典型的です。
創業時の例
- 創業融資:1,000万円(日本政策金融公庫)
- 自己資金:300万円
- 後日、小規模事業者持続化補助金:50万円
設備投資時の例
- 設備資金融資:2,000万円
- 自己資金:500万円
- 後日、ものづくり補助金:1,000万円
いずれの場合も、先に融資と自己資金で事業を開始し、後から補助金を受け取ることで、実質的な自己負担を軽減しています。
補助金と融資の併用時のスケジュール管理について詳しくはこちら
⑤ 併用を成功させるための注意点
最後に、併用を成功させるための注意点をまとめます。
事業計画の整合性
融資申請と補助金申請、それぞれに事業計画書を提出しますが、内容に整合性が取れていることが重要です。
例えば、融資申請では「設備投資500万円」と書いているのに、補助金申請では「設備投資1,000万円」と書いていると、矛盾が生じます。
金額や事業内容は、両方の申請で一貫性を持たせましょう。
金融機関への説明
融資を申請する際、金融機関には「補助金を申請していること」を必ず伝えましょう。
説明すべきポイント
- どの補助金に申請しているのか
- 採択の見込みはどうか
- 補助金が入金されたら、どのように使うのか(返済に充てるなど)
補助金の採択は、金融機関にとっても「事業計画が公的に評価された証拠」となり、プラス材料になります。
補助金事務局への確認
不明な点があれば、補助金の事務局に必ず確認しましょう。
特に以下の点は、確認すべきです。
- 融資を使うことに制限はないか
- 他の助成制度との重複はないか
- 支払いのタイミングに制約はないか
事務局は、こうした質問に慣れています。遠慮せず、確認しましょう。
資金繰り計画を立てる
併用する場合、資金繰り計画が非常に重要になります。
- 融資はいつ実行されるのか
- 設備購入はいつ行うのか
- 補助金はいつ入金されるのか
- 融資の返済はいつから始まるのか
これらのタイミングを整理し、現金が不足しないように計画を立てましょう。
まとめ:ルールを知れば、併用は怖くない
補助金と融資の併用について、基本ルールを解説してきました。
重要なポイントのおさらい
- 補助金と融資は原則併用可能:性質が違うため、法令上も問題なし
- 「補助金と補助金」の重複は禁止:同一経費への重複充当はNG
- 融資は「つなぎ資金」:補助金が後払いのため、先に融資で支払う
- 事業計画の整合性が重要:融資と補助金、両方の申請内容を一致させる
- 不明点は必ず確認:金融機関と補助金事務局に事前に相談
併用自体は問題ない、問題は「やり方」
繰り返しになりますが、**補助金と融資の併用自体は問題ありません。**問題になるのは「やり方」です。
ルールを知らずに進めると、違反や資金繰りの失敗につながりますが、事前にルールを理解し、整理ができていれば怖くありません。
次のステップ:スケジュール管理と実務
本記事では、併用の「基本ルール」を解説しました。
実際の併用では、さらに詳しい「スケジュール管理」や「実務上の注意点」を理解する必要があります。
補助金と融資の併用時の注意点とスケジュール管理について詳しくはこちら
一人で悩まず、専門家に相談を
「自分のケースは併用できるのか」「どのタイミングで融資を申請すべきか」——こうした個別の判断は、専門家に相談することをお勧めします。
中小企業診断士や行政書士は、補助金と融資の両方に精通しており、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスができます。
ルールを知れば、併用は怖くありません。
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