銀行融資が通る事業計画書の書き方

はじめに

銀行融資を受けるために事業計画書の作成を求められたものの、「何をどう書けばいいのかわからない」「融資担当者に何を伝えればいいのか」とお悩みの経営者の方は少なくありません。実際、事業計画書の質によって融資の成否が大きく左右されるケースは多々あります。

ただし、前提として理解していただきたいのは、どんなに優れた事業計画書を作成しても、足元の財務状況が厳しい会社では融資を受けることが難しい場合があるということです。銀行は事業の将来性だけでなく、現在の財務基盤も重視します。「銀行が財務のどこを見ているか」については別の記事で詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。

本記事では、一定の財務基盤(完璧である必要はありません)がある前提で、銀行融資が通りやすい事業計画書の書き方について、実務の観点から解説していきます。

銀行が求める情報を正確に盛り込む

事業計画書を作成する上で最も重要なのは、銀行が必要とする情報をきちんと織り込むことです。立派な文章や美しい体裁よりも、融資判断に必要な情報が論理的に説明されているかどうかが評価のポイントになります。

銀行が事業計画書で特に注目する情報は、大きく分けて二つあります。それが「資金使途」「返済原資」です。この二つが論理的かつ説得力をもって書かれているかどうかが、融資審査の成否を分けると言っても過言ではありません。

「資金使途」:借りた資金で何をするのか

資金使途とは、その名の通り「融資をしてもらった資金で何をするのか」ということです。これは銀行融資の1丁目1番地と言える最重要ポイントであり、銀行はこの資金使途を通じて「その企業に本当に必要な資金なのか」を判断します。

具体的な資金使途の例

資金使途として典型的なものには、以下のようなケースがあります。

  • 設備資金:機械や車両、店舗改装などの設備投資
  • 納税資金:法人税や消費税などの納税に必要な資金
  • 補助金つなぎ資金:補助金が入金されるまでの一時的な資金

これらは明確な資金使途として銀行も理解しやすく、融資判断がスムーズに進みやすい傾向にあります。

「運転資金」という言葉の落とし穴

事業計画書でよく見かけるのが、資金使途として「運転資金」という言葉を使っているケースです。運転資金とは事業を運営するうえで必要となる資金のことを指しますが、実はこれは特定の資金使途を指す言葉ではありません。

確かに便利なフレーズではありますが、正直なところ説明としては不十分です。銀行が知りたいのは「なぜ日常の運営資金が不足したのか」という理由です。

運転資金が必要になる背景としては、多くの場合、以下の二つのパターンに分類されます。

増加運転資金 売上増加に伴って、仕入れや人件費などの先行支出が増え、入金までの間に必要となる資金です。事業が成長している証拠でもあり、銀行からも比較的前向きに評価されます。

赤字補填資金 残念ながら利益が出ずに資金繰りに窮した際に調達する資金です。この場合は、なぜ赤字になったのか、今後どのように改善するのかを明確に示す必要があります。

単に「運転資金として〇〇万円必要」と書くのではなく、その背景や必要性を具体的に説明することで、銀行の理解と信頼を得ることができます。

返済原資:どうやって返すのか

返済原資とは、どのように借入金を返すのか、その返済のための収益源についての説明です。当然のことながら、銀行もビジネスですので、返ってこない資金は貸してくれません。融資は「貸し付け」であり「投資」ではないため、確実な返済計画が求められます。

返済原資の説明例

一番わかりやすい例として、次のようなストーリーがあります。

「新しい受注に対応するために設備を入れる資金を借りたい」 →「設備を入れることで新規受注を受けられるようになる」 →「現状よりも収益が向上する」 →「その向上分で返済する」

このように、資金使途から収益向上、そして返済までの流れを一本の線でつなげて説明することが重要です。

収益構造を丁寧に説明する

銀行は数字を見るプロではありますが、特定業種の収益構造について完璧に理解している人間は多くありません。融資担当者は様々な業種の企業を担当しているため、あなたの業界の細かい商習慣や収益モデルまでは把握していない可能性があります。

だからこそ、「どういった条件で、どのように収益が生まれているのか」を丁寧に説明することで、説得力は大きく変わります。例えば、受注から入金までの期間、原価率、必要な人員体制など、収益が生まれるメカニズムを具体的に示すことが効果的です。

自然と全体像が見えてくる

事業計画書では、事業のビジネスモデルや取引先の信用度、経営者の資質など、多くの側面で融資の与信判断がなされます。

しかし、上記の「資金使途」と「返済原資」をしっかりと説明しようとすると、自然とその他の要素も書く必要が出てきます。例えば、返済原資を説明するためには事業の収益構造を説明する必要があり、収益構造を説明するためには顧客や取引先について触れることになります。

つまり、この二つのポイントを軸にして事業計画書を組み立てれば、銀行が知りたい情報が自然と網羅された計画書になるのです。

まとめ

銀行融資が通る事業計画書を作成するためには、美しい文章や立派な装丁よりも、「資金使途」と「返済原資」を論理的かつ説得力を持って説明することが何よりも重要です。

  • 資金使途では、融資された資金で具体的に何をするのかを明確に
  • 返済原資では、その資金によってどのように収益が生まれ、返済できるのかを説明

この二つを軸に、あなたの事業の魅力や実現可能性を伝えることができれば、銀行からの信頼を得て融資を受けられる可能性は大きく高まります。


事業計画書の作成や銀行融資についてお悩みの方は、プラスワンマネジメントまでお気軽にご相談ください。中小企業診断士として、あなたの事業に最適な資料作成をサポートいたします。

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