創業時に必ず行うべきSWOT分析のやり方|融資・補助金を突破する事業計画を作るために【後編】

前編のおさらい

前編では、SWOT分析が創業時に必須である理由と、4つの要素(強み・弱み・機会・脅威)の正しい理解、そして分析の基本手順を解説しました。

後編では、いよいよ実践編です。SWOT分析から具体的な戦略を導き出す方法、業種別の実例、そして融資・補助金での活用法を詳しく見ていきます。

④ 正しいSWOT分析の手順【戦略編】

SWOTマトリクスを作成したら、次は最も重要なステップ、**「戦略への変換」**です。

ステップ6:SWOT分析を4つの戦略に変換する

SWOT分析の真の価値は、4つの要素を掛け合わせて戦略を導き出すことにあります。

SO戦略:強み × 機会 →”勝てる領域”を攻める

自社の強みを活かして、市場の機会を最大限に活用する積極的な戦略です。

定義:自社の強みで、外部環境の機会をつかむ

  • 強み:シェフとしての20年経験
  • 機会:健康志向の高まり
  • SO戦略:健康志向メニューを前面に出し、SNSで情報発信

いつ使うか 事業が軌道に乗り始めた時、または資金に余裕がある時に最も有効です。

ST戦略:強み × 脅威 → 競争優位でリスク回避

自社の強みを活かして、外部環境の脅威を回避・軽減する防衛的な戦略です。

定義:自社の強みで、外部の脅威に対抗する

  • 強み:既存顧客との強い信頼関係
  • 脅威:競合店の増加
  • ST戦略:既存顧客のリピート率向上に注力し、競合の影響を最小化

いつ使うか 市場環境が厳しい時、競合が増えた時に有効です。

WO戦略:弱み × 機会 → 補助金で弱みを補強

自社の弱みを克服するために、外部環境の機会を活用する改善戦略です。

定義:弱みを補うために、外部の機会を活用する

  • 弱み:広告・マーケティングのノウハウ不足
  • 機会:小規模事業者持続化補助金の募集
  • WO戦略:補助金を活用してホームページ制作と広告運用を専門家に委託

創業者にありがちな誤り 弱みから目を背けて、何も対策しないこと。WO戦略は、弱みを正直に認め、改善する姿勢を示すため、融資・補助金で高く評価されます。

小規模事業者持続化補助金について詳しくはこちら

WT戦略:弱み × 脅威 → リスク最小化

自社の弱みと外部環境の脅威が重なる最悪のシナリオを想定し、リスクを最小化する撤退・回避戦略です。

定義:弱みと脅威が重なるリスクを回避・最小化する

  • 弱み:初期資金が少ない
  • 脅威:原材料費の高騰
  • WT戦略:固定費を極力抑え、小規模で開業。価格競争ではなく付加価値で勝負

いつ使うか 創業初期で資金に余裕がない時、または市場環境が悪化している時に重要です。

⑤ SWOT分析の実例【業種別の深掘り】

ここからは、実際の業種別のSWOT分析例を見ていきます。飲食店と建設業を詳しく、EC物販はコンパクトに解説します。

実例①:飲食店(健康志向カフェ)のSWOT分析

【強み(S)】

  • 店主の栄養士資格と飲食業10年の経験
  • 地元農家との直接契約による新鮮食材の確保
  • 既存の顧客リスト100名(前職での人脈)
  • SNS運用スキル(Instagram フォロワー3,000人)

【弱み(W)】

  • 初期資金が限定的(自己資金300万円)
  • 新規店舗のため認知度ゼロ
  • 接客スタッフの採用・教育ノウハウが不足

【機会(O)】

  • 駅前再開発により若年層の流入が増加
  • 健康食品市場の拡大(前年比8%成長)
  • SNSでの拡散性が高い業態
  • 小規模事業者持続化補助金の対象

【脅威(T)】

  • 人件費・食材費の継続的な高騰
  • 同エリアに競合カフェが3店舗
  • 人材不足による採用難

【戦略への落とし込み】

SO戦略:栄養士の専門性と健康志向の高まりを活かし、「栄養バランス献立カフェ」として差別化。SNSで積極的に情報発信し、開業前から認知を獲得。

ST戦略:既存顧客リストを活用し、開業初日からリピーター確保。競合との価格競争を避け、専門性で勝負。

WO戦略:持続化補助金を活用してホームページ制作と初期広告費を確保。認知度向上を図る。

WT戦略:初期は最小限のスタッフ(店主+パート1名)でスタートし、固定費を抑える。黒字化を優先。

実例②:建設業(リフォーム・外構)のSWOT分析

【強み(S)】

  • 職人歴20年の豊富な経験と技術力
  • 既存顧客からの紹介による安定した受注
  • 地域密着で信頼関係が深い
  • 一級建築施工管理技士の資格保有

【弱み(W)】

  • 営業力不足(新規顧客開拓が苦手)
  • IT活用が弱い(ホームページなし、SNS未活用)
  • 事務作業が苦手で見積もり作成に時間がかかる

【機会(O)】

  • 住宅リフォーム需要の増加(築30年以上の住宅増)
  • 省エネリフォーム助成金の拡充
  • 高齢化による バリアフリー工事の需要増

【脅威(T)】

  • 材料費の高騰(木材・金属価格の上昇)
  • 同業他社の低価格競争
  • 若手職人の不足

【戦略への落とし込み】

SO戦略:20年の経験と資格を活かし、「省エネリフォーム専門」として特化。助成金申請サポートも含めた提案で差別化。

ST戦略:既存顧客との信頼関係を強化し、紹介による受注を増やす。価格競争ではなく、技術力と信頼で勝負。

WO戦略:持続化補助金を活用してホームページ制作と営業資料作成を外注。IT活用で営業力を強化。

WT戦略:材料費高騰に対応するため、仕入先との関係強化と早期発注で価格を抑える。無理な低価格受注は避ける。

実例③:EC物販(小規模)のSWOT分析【コンパクト版】

**【強み】**仕入れネットワーク、スピード対応
**【弱み】**在庫資金不足、広告運用知識不足
**【機会】**海外需要、SNS活用、越境EC追い風
**【脅威】**Amazon手数料、円安、競合増加

【主要戦略】
ST戦略:スピード納品(翌日発送)で競争優位を維持し、大手との差別化を図る。

⑥ 事業計画書・融資・補助金でSWOTをどう活用するか

SWOT分析ができたら、それを事業計画書や融資・補助金申請にどう活用するかが重要です。

SWOTは「事業計画書の骨格」になる

SWOT分析に基づいて事業計画書を作成すると、以下のメリットがあります。

  • 創業動機が明確になる(なぜこの事業をやるのか)
  • 市場分析に説得力が出る(機会と脅威の認識)
  • 自社の差別化ポイントが明確になる(強みの言語化)
  • リスク管理ができている印象を与える(弱みと脅威への対策)

事業計画書の書き方について詳しくはこちら

融資で見られるポイント

日本政策金融公庫などの融資審査では、以下の点が重視されます。

  • 収益性:継続的に利益を生み出せるか → SO戦略で示す
  • 継続性:長期的に事業を続けられるか → ST戦略で示す
  • 安全性:リスクに対応できるか → WT戦略で示す

SWOTで根拠づけができていると、これらすべてに説得力を持って答えられます。

補助金で見られるポイント

補助金(持続化補助金、ものづくり補助金など)の審査では、以下が重視されます。

  • 必要性:なぜこの取り組みが必要か → 弱み(W)と機会(O)で説明
  • 有効性:どのような効果があるか → SO戦略やWO戦略で示す
  • 妥当性:実現可能か → 強み(S)と経験で裏付ける

SWOT分析と補助金の審査項目は、ほぼ完全に一致します。

SWOTに基づいた計画書は説得力が段違い

SWOT分析をしっかり行った事業計画書は、審査員や金融機関が「安心して貸せる理由」になります。

なぜなら、以下のことが自然と明確になるからです。

  • 誰に(ターゲット)
  • 何を(商品・サービス)
  • どう売るか(販売戦略)
  • なぜ自社が選ばれるのか(差別化)
  • どんなリスクがあり、どう対応するか(リスク管理)

この流れが、SWOT → KSF(重要成功要因)→ 具体的施策というつながりで説明できるのです。

⑦ まとめ:SWOT分析は創業の「軸」を作る最強ツール

創業時の不確実性を下げる

創業は不確実性との戦いです。しかし、SWOT分析を行うことで、「何が強みで、何が課題で、どんなチャンスとリスクがあるのか」が明確になり、不確実性を大きく下げることができます。

長期的な方向性を決められる

SWOT分析は、短期的な売上計画だけでなく、長期的な事業の方向性を決める指針になります。

「どの市場で、どのように勝負するか」という戦略が明確になるからです。

融資・補助金の審査に強い事業計画が作れる

SWOTが深いほど、融資・補助金に通りやすくなります。

なぜなら、審査で見られるポイント(収益性、継続性、必要性、有効性)が、すべてSWOT分析から導き出されるからです。

SWOT分析は一度作って終わりではない

重要なのは、SWOT分析は一度作って終わりではなく、定期的に見直すべきということです。

市場環境は変化しますし、自社の状況も変わります。半年に一度、または事業の節目でSWOT分析を更新することで、常に最適な戦略を取り続けることができます。

一人で悩まず、専門家の力を借りよう

SWOT分析は、一人でやると「思い込み」や「見落とし」が生じやすいものです。

**外部の専門家の目を入れることで、自分では気づかなかった強みや脅威が見えてきます。**特に、融資や補助金の申請を控えている方は、中小企業診断士などの専門家のサポートを受けることを強くお勧めします。


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SWOT分析は創業の「軸」を作る最強ツールです。

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