【中小企業向け】金融機関が「ココを見ている」事業計画書チェック項目ベスト5と書き方の極意【後編】

前編のおさらい

前編では、金融機関が「返済可能性」を最重視していることと、事業内容の一貫性・売上計画の妥当性という2つの重要なチェック項目を解説しました。

後編では、残り3つのチェック項目と、金融機関に評価される書き方の極意を詳しく見ていきます。

④ チェック項目③:自己資金・資金使途の明確さ

金融機関が必ずチェックするのが、自己資金と借入金の使い道です。

自己資金比率が意味するもの

自己資金比率とは、総資金に占める自己資金の割合のことです。一般的には、総資金の20~30%程度の自己資金があることが望ましいとされています。

なぜ自己資金比率が重視されるのでしょうか?

それは、自己資金が経営者の本気度と計画性の証明になるからです。計画的に貯蓄してきた実績は、「この経営者は計画を立てて実行できる人だ」という評価につながります。

また、自己資金が多いほど借入額が少なくなり、返済負担も軽くなります。つまり、事業が多少うまくいかなくても返済を続けられる余裕があると判断されるのです。

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借入金の使い道が具体的か

金融機関は、借入金の使い道が具体的かを厳しくチェックします。

ダメな例 「運転資金として500万円」

これでは、何に使うのかが不明確です。

良い例 「運転資金500万円の内訳:

  • 仕入資金(3ヶ月分):300万円
  • 広告宣伝費:100万円
  • 人件費(2ヶ月分):80万円
  • その他運転資金:20万円」

このように、使途を具体的に示すことが重要です。

設備資金・運転資金の区分

金融機関は、設備資金と運転資金を明確に区分することを求めます。

設備資金 店舗内装、機械設備、車両など、長期的に使用する資産への投資。返済期間は5~10年程度が一般的。

運転資金 仕入、人件費、家賃など、日々の事業運営に必要な資金。返済期間は3~7年程度が一般的。

それぞれに見積書を添付し、金額の妥当性を示すことが求められます。特に、50万円を超える経費については、複数社からの相見積もりが望ましいとされています。

⑤ チェック項目④:経営者の経験・強み【重要】

数字だけでなく、経営者自身の評価も非常に重要です。

経歴と事業内容が結びついているか

金融機関が重視するのは、経歴と事業内容の結びつきです。

評価される例 「飲食業で15年間、店長として勤務してきました。その経験を活かし、健康志向の飲食店を開業します」

この場合、経歴と事業内容が明確に結びついており、「この人ならできる」と評価されやすくなります。

警戒される例 「IT企業でサラリーマンをしていましたが、飲食業に憧れて脱サラし、レストランを開業します」

この場合、飲食業の経験がないため、リスクが高いと判断されます。もし未経験の分野で開業する場合は、協力者や指導者の存在を明確にする必要があります。

数字以外で評価されるポイント

金融機関は、数字だけでなく以下のような点も評価します。

  • 資格・免許:業務に必要な資格を持っているか
  • 人脈・顧客基盤:既存の取引先や顧客がいるか
  • 協力者の存在:税理士、弁護士、業界の先輩など、サポート体制があるか
  • 過去の実績:前職での営業成績、プロジェクト成功経験など

こうした要素を事業計画書に盛り込むことで、経営者の信頼性が高まります。

弱みをどう補完しているか

完璧な経営者はいません。重要なのは、弱みを認識し、それをどう補完しているかを示すことです。

「私は営業経験は豊富ですが、経理業務には不慣れです。そのため、開業当初から税理士と顧問契約を結び、月次決算のサポートを受ける予定です」

このように、弱みを正直に認め、対策を示すことで、逆に信頼性が高まります。

⑥ チェック項目⑤:返済計画の現実性【最重要】

最終的に、金融機関が最も重視するのが返済計画です。

キャッシュフローの考え方

金融機関は、利益ではなくキャッシュフローを重視します。

なぜなら、返済は現金で行うからです。どれだけ帳簿上の利益が出ていても、現金がなければ返済できません。

キャッシュフローの基本式 営業利益 + 減価償却費 - 税金 = 返済原資

減価償却費は、帳簿上の経費ですが、現金の支出を伴いません。そのため、返済原資として使えます。

返済原資の説明ができているか

金融機関に説明すべきは、**「毎月いくらの返済原資が確保できるのか」**です。

「月次の営業利益は平均30万円、減価償却費が5万円、税金を差し引いた返済原資は月25万円です。月々の返済額は20万円を予定しているため、5万円の余裕があります」

このように、具体的な数字で返済原資を示すことが重要です。

返済後も事業が回るか

もう一つ重要なのは、返済後も事業が回るかという点です。

返済額が利益のほとんどを占めてしまうと、設備の修繕費や突発的な出費に対応できなくなります。

理想的なバランス

  • 返済額:営業キャッシュフローの70~80%程度
  • 残り20~30%:突発的な出費や再投資に充てる

このバランスを保つことで、安定した経営が可能になります。

返済シミュレーションの提示

可能であれば、返済シミュレーションを提示することをお勧めします。

例えば、1,000万円を年利2%、返済期間7年で借りた場合、月々の返済額は約12.5万円です。これに対して、毎月の返済原資がいくら確保できるのかを示します。

また、「売上が計画の80%になった場合」「原価が10%上昇した場合」といった悪いシナリオでも返済できることを示すと、さらに信頼性が高まります。

⑦ 金融機関に伝わる「書き方」の極意

最後に、金融機関に評価される書き方のポイントをお伝えします。

専門用語を避ける

事業計画書は、専門家ではない審査担当者も読みます。業界特有の専門用語は、できるだけ避けるか、説明を加えましょう。

悪い例 「当社はSaaSモデルでARRを最大化し、LTVを向上させます」

良い例 「当社は月額課金型のサービス(SaaS)を提供し、顧客との長期的な関係構築により、継続的な収益を確保します」

数字と文章をセットで説明

数字だけを羅列しても、その意味が伝わりません。必ず文章での説明を加えましょう。

「初年度売上:2,400万円(月平均200万円×12ヶ月) ※開業初月は準備期間のため、実質営業は11ヶ月。2年目以降は通年営業により売上増を見込む」

このように、数字の意味を文章で補足することが重要です。

A4数枚でも評価は十分

事業計画書は、長ければ良いというものではありません。A4で5~10枚程度にまとめるのが理想です。

重要なのは、「読みやすさ」と「わかりやすさ」です。ポイントを絞って、簡潔に記載しましょう。

詳細な資料は、添付資料として別途用意すれば十分です。

まとめ:金融機関が見ているのは「返済できる現実」

金融機関が事業計画書で見ているのは、「夢」ではなく「返済できる現実」です。

5つのチェック項目のおさらい

  1. 事業内容の一貫性・再現性:ビジネスモデルが明確で再現可能か
  2. 売上・利益計画の妥当性:根拠のある積み上げができているか
  3. 自己資金・資金使途の明確さ:自己資金比率と使途の具体性
  4. 経営者の経験・強み:経歴と事業の結びつき、弱みの補完
  5. 返済計画の現実性:キャッシュフローと返済原資の確保

これらのポイントを押さえて事業計画書を作成すれば、金融機関からの評価は大きく変わります。

「改善可能」であることを忘れない

もし現在の事業計画書が金融機関の評価基準に達していなくても、心配する必要はありません。改善は十分に可能です。

金融機関が何を見ているのかを理解し、その視点で計画書を見直せば、評価される書類に生まれ変わります。

一人で悩まず、専門家の力を借りよう

事業計画書の作成は、一人で進めようとすると、思わぬ落とし穴に気づかないことがあります。

**中小企業診断士や行政書士などの専門家に相談することで、金融機関の視点を理解し、評価される計画書を作成できます。**特に、融資審査の経験が豊富な専門家を選ぶことをお勧めします。

正しいポイントを押さえて、正しい書き方をすれば、融資の可能性は大きく高まります。


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